中小企業診断士試験について、詳しく調べてみました

調べてみた 試験のこと

中小企業診断士とは、「中小企業の発展のため、中小企業の経営について診断・助言を行うことについて一定の能力を有すると認められる者」のことを指します。経営コンサルタントを認定する日本で唯一の国家資格です。学ぶ分野は幅広く、経営戦略をはじめ、財務会計、経営法務、IT、経済学までを網羅しています。

日本経済新聞記事で、ビジネスパーソンを対象にした新たに取得したい資格の調査で1位になったことでも話題になりました。こんな記事も発見!

 

ちなみに「中小企業」とはどのような規模の会社かと言うと、業種によってその基準が異なるようです。例えば小売業だと、このような具合となります。

資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人

 

詳しくはこちらをご覧ください。

 

登録者数はどのくらいいる?

2017年4月時点で約26,000人とのことです。その後、年1回実施される試験で約1000名が合格しているので、2020年3月現在では約29,000人、2020年末には30,000人を超えるのではないでしょうか。

世の中の仕業系資格をみてみると、公認会計士が約4万人、行政書士が約5万人、税理士が約8万人という数です。取得したい資格ナンバーワン!ということを考えると少ない印象ですが、これからどんどん増えていくのかもしれませんね。
ただ、中小企業診断士は「一度取得してしまえば終わり」ではありません。資格を保持し続けるために5年ごとに更新する必要があり、それなりの労力と費用がかかります。そもそも中小企業診断士が取り組む業務は、資格が無いと絶対にできないものではありません
今後、中小企業診断士の需要や社会的な存在価値がさらにあがり、「とりあえず資格を持っていれば食える」という状況になっていってほしいものですね。

 

独立開業はできる?

弁護士、弁理士、公認会計士、さらには税理士や行政書士といった資格には、その資格者以外には極端に困難もしくは不可能である専売特許のような業務があります。一方で中小企業診断士にはそういった業務はありませんので、資格をとれば誰しも独立開業してバリバリ稼げるというワケではありません。

とは言え、独立開業して事業を行っている方はもちろんいらっしゃいいます。
資格取得直後は、そうした先輩の専業診断士から仕事を回してもらうなどして着実に実力をつけていき、仕事や人とのつながりを作っていくことが、長期間にわたって資格を生かすことにつながっていくようです。

サラリーマン診断士とは?

中小企業診断士の有資格者の中には、企業勤めを続ける方がかなりたくさんいます。10年ほど前にに中小企業診断士協会が行ったアンケート調査によると、企業勤めの中小企業診断士が54.5%ほどいるという結果でした。私が働いている会社にも数名います。繰り返しますが、中小企業診断士には専売特許のような業務がありませんので、特別な資格手当といったこともあまり聞いたことはありません。
サラリーマンの有資格者は、資格による直接的な収入アップが目的ではなく、通常の自己啓発の延長線上に中小企業診断士資格の取得を位置付けている方が多いようです。かくいう私もそのクチです。

それでも、今後についてはとても期待も持っています。

資格試験を通じて習得した知識や考え方を業務を通じてさらにブラッシュアップさせていくことが、人生100年時代の後半生の余力、つまり引退後の収入につながっていくと考えています。
さらに言えば、これからは複業の時代とも言われています。お小遣い稼ぎ的な“副”業ではなく、いくつかの仕事を並行することで個人としての収入源を多角化し、この変化が激しい時代のリスクに備える“複”業です。
そうしたパラレルワークに取り組むうえでも、ひとつの仕事として、またはすべての仕事の基礎となるビジネスリテラシーを保証するものとして、中小企業診断士資格は存在感を発揮するのではないでしょうか。

 

中小企業診断士試験は1次と2次がある。本登録にはさらに先も

 

中小企業診断士になるには、1次試験2次試験(筆記・口述)があります。さらに2次試験の合格者が中小企業診断士として協会登録するには、実務補修及び実務従事が必要となります。それぞれを詳しく確認していきましょう。

1次試験について|試験科目・配点・時間・合格基準

基本的な知識を問う試験であり、全科目ワークシート形式の試験です。
また一部科目は、他の国家資格を有する受験者に受験を免除する仕組みもあります(要申請)。受験資格はなく、誰でも、何歳でも受験することが可能となっています。試験科目は下記の7科目、配点は各100点です。

  • 企業経営理論
  • 財務・会計
  • 運営管理
  • 経営情報システム
  • 経済学・経済政策
  • 経営法務
  • 中小企業経営・中小企業政策

壮観ですね。。。
これらの科目を習熟しなくてはならない考えると気が遠くなりますが、とりあえず「合格」が目標の場合はあきらめる必要はありません。

試験のスケジュールはこんな感じです。

1次試験時間割

1次試験の合格基準

受験した全科目の総得点の60%を取れれば合格です。
つまり、免除科目がなく7科目受験したとすると、700点中420点取れば合格となります。どうでしょう、少し心が軽くなりますよね。
1点注意したいのは、1科目でも40%未満の科目があると不合格となってしまうというルールです。苦手科目でも最低半分くらいは得点できる力をつけて試験に臨みたいですね。

1次試験の科目合格

さらに、1次試験には科目合格という制度もあります。
各科目、60%以上得点できれば、次回受験時に当該科目の受験を免除となる仕組みです。絶対に1発合格を狙う方にはあまり関係ないかもしれませんが、私のように1年半計画での取得をめざすのんびり受験者には、嬉しい制度ですね。
とは言え、免除科目は自動的に60点となりますので、ギリギリ合格を目指す場合は注意してください!

1次試験合格資格の有効期間

1次試験を1度合格すると、その資格は2年間継続します。
つまり、合格した年度と、その翌年度の2回分、2次試験にチャレンジするチャンスがあるということです。
ちなみに科目合格の資格は3年間。3年以内に全科目の合格を目指す、というのが1次突破の最長目標となりますね。

2次試験について|試験科目・配点・時間・合格基準

中小企業が抱える問題点や改善点などに関する問題に答える、「筆記試験」「口述試験」です。
中小企業診断士必要な応用能力を有するかどうかを判定することを目的としており、中小企業の診断および助言に関する実務の事例並びに助言に関する能力について判断されます。

2次試験の「筆記試験」について

試験科目は下記の4科目、配点は各100点です。

  • 【事例1】組織を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
  • 【事例2】マーケティング・流通を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
  • 【事例3】生産・技術を中心とした経営の戦略および管理に関する事例
  • 【事例4】財務・会計を中心とした経営の戦略および管理に関する事例

実際の試験は、1日で行われます。それぞれ試験時間は80分、午前中に【事例1】と【事例2】、午後に【事例3】【事例4】というスケジュールです。なかなかヘビーですね。休憩時間が気になるところです。笑

2次試験の「口述試験」について

2次試験の「筆記試験」を合格した人のみが受けられます。なお、この「口述試験」を受ける資格は当年度のみ。つまり「筆記試験」を合格したとしても、翌年以降はまたゼロからスタートすることになります。
試験の内容は、「筆記試験」で問題となった事例などをもとに、個人ごとに面談形式で行われます。実施時間はたったの10分。おそらく「筆記試験」で自身が記入した内容を、再度自らの言葉で説明したり、理解した上で記入しているのかなどを対面で確認されるのだと考えられます。

2次試験の合格基準

1次試験と考え方は同じです。
筆記試験」の総得点の60%以上をとり、「口述試験」における評定が60%以上だと合格です!
さらに、「筆記試験」中1科目でも40%未満があると不合格となるところも1次試験と同じなので、注意が必要ですね。

 

2次試験合格から本登録まで

2次試験を合格し、「やった!これで中小企業診断士の仲間入りだ!」と叫びたいところですが、診断士登録を受けるにはもう少しやることが残っています。それが、実務補修・実務従事です。
実務補修と実務従事は“どちらか一方”でよいのですが、どちらもそれなりの労力と時間(とお金)がかかります。
目的は、「コンサルティングの実践」です。
中小企業診断士として診断実務能力を有するかを実務を通して判断することを目的とし、2次試験合格後、3年以内に実務補修を15日以上受けるか、実務に15日以上従事すると、やっとのことで中小企業診断士としての登録申請を行うことができるのです。

この実務補修と実務従事は内容が複雑なので、また別の記事で整理して解説したいと思います。

 

中小企業診断士試験の実施概要と時期、費用

ここからは、全体的なスケジュールや受験料などを確認していきます。

1次試験の日程、費用、申込について

1次試験は、例年8月上旬の土日(2日間)で行われています。
ですが、2020年は東京オリンピックの影響で、7月中旬の土日に半月ほど前倒して行われるようです。確かに移動手段の混雑や宿泊施設の確保を考えると、懸命な判断かもしれないですね。うっかり勉強スケジュールを間違えると大変なことになりますが。笑

1次試験の受験手数料は、13,000円です。結構しますね。

申込について

予め予告された請求期間(例年だいたい4月末~5月末)に、試験案内を入手するところからスタートします。入手方法は下のふたつ。

  • 郵送による請求
  • 窓口での受け取り

いずれにしろ超めんどくさいですね。。。
この現代的でない仕組みを変えることは、この資格の社会的なステータスをあげる初めて一歩と言う気がしてなりません。運営団体の方々は、診断士の資格をお持ちなのでしょうか…

詳しくはこちらのページをご確認ください。

平成31年度中小企業診断士第1次試験について

 

2次試験の日程、費用、申込について

2次試験の「筆記試験」は例年10月下旬に、「口述試験」は例年12月中旬に行われています。

そして2次試験の受験手数料が、17,200円かかります。
そうです、1次試験と2次試験、同じ資格試験なのですが受験料が2回必要なのです。あわせて3万円以上。私立大学の受験みたいですね。その後の実務補修・実務従事にかかる費用などを考えると、資格取得者数がその人気ほどには増えていかない理由が透けて見えてきます。
少なくとも、1発もしくは1.5発くらいでは合格しないと勿体ない…

後は、資格取得後の資格活用イメージを、予め形にしておくとよいかもしれません。
資格取得にかかった費用を補ってあまりあるリターンを、近い将来の自分に描けるのかどうか。もちろんあらゆる種類のビジネスに関わっているものとしての基礎的な知識と考え方が身に付きますので、絶対にマイナスということはありません。ですが、勉強のモチベーションにも関わってくるので、事前にしっかりと頭の中を整理してから勉強を始めることが重要ですね。

 

終わりに

この記事は、私が中小企業診断士の取得に取り組むと決めるために調べ、頭の中を整理するため文字にまとめたものです。記事を起こしながら、フツフツとやる気が沸いてきました。笑
これから1年半ほど、長いようで短い受験勉強に入りますが、目的を見失わずに頑張っていきたいと思います。

 

 

一緒にがんばりましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました