独学で中小企業診断士試験の突破を目指す私。「中小企業診断士 最速合格のためのスピードテキスト」の第6巻[経営法務]の1周目を読み終えたので、復習を兼ねて簡単に内容をまとめてみます。
本論は約290ページと、他の科目に比べて(ほんの少しですが)スリムな感じ。
一方で、法律用語など、普段の生活では耳馴染みのない言葉や言葉遣いが頻発します。
やはりどの教科も、一筋縄ではいきませね。笑
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勉強のポイント、優先順位について
中小企業診断士試験の全7科目中、屈指の取っつきにくさを誇る[経営法務]。
二次試験にはあまり関係のない暗記科目であり、さらにその取っつきにくさからどうしても蔑ろにしてしまいがち…
そんな時は、後述する各章のうち
「第2章 会社法等に関する知識」
「第5章 知的財産権等に関する知識」
のふたつの章に重点をおいて取り組むのが良さそう。
過去の出題実績を見ると、この2領域だけで5割以上の問題が出題されています。
つまり、これらの章だけでも完全にマスターすれば、[経営法務]は科目合格できてしまうことになります。
限られた時間で効率的に合格を目指すためには、割り切りも必要ですよね。
第1章 民法その他の知識
経営法務で扱う法律のメインは、私法に分類される民法です。
この章では、その民法とはどのような法律であるのか。そして、民法を構成する5つの編について、具体的に勉強していきます。
ちなみに民法を構成する5つの編とは「総則」「物件」「債権」「親族」「相続」です。そのうち、中小企業診断士の試験の範囲と明示されているのは、「物件」「債権」「相続」ですので、このあたりを中心に掘り下げていくことになります。
下記が、スピードテキスト(以下、スピテキ)の項立てです。
- 民法に関する基礎知識
- 債権・契約
- 物権
- 相続
- 商行為
まず民法に関する基礎知識では、考え方のすべての基本を確認します。
例えば、民法は近代私法の基本原則(三大原則)をもとに制定されていますが、その原則は下記3つです。
・所有権絶対の法則
・契約自由の法則
・過失責任の法則
判断に迷うときにはこの三原則に立ち戻り、“べき論”で考え、結論を導き出すことになります。
その他、もう最初から慣れない用語、もしくは通常と意味の異なる用語のオンパレード。
故意、過失、法律行為、契約、単独行為、様式行為、債券行為、物件行為、私権、支配権、抗弁権、意思能力、行為能力、意思表示、心裡留保、虚偽表示、錯誤、瑕疵、到達主義、法定代理、無権代理、表見代理、停止条件、解除条件、期限の利益、取得時効、消滅時効、etcetc…
第1章の1項だけでこんな状況ですが、ひとつひとつ意味をしっかり確認しながら進んでいきましょう…
債権と物権
債権とは、「ある人(債権者)が、他のある人(債務者)に対して、一定の”行為”をせ請求する権利」です。
一方の物権は、「”物”を支配できる権利」であり、一定の”物”を直接的に、そして排他的に支配できる権利のことです。
一物一権主義という言葉も出てきますが、1つの物の上に同じ内容の物権は存在しえませんが(排他的)、債券はそのような性格はなく、同一内容の債権が複数成立し、しかも債権者は平等の扱いを受けることができます。
どちらの権利も試験で多く問われる内容ですので、しっかりと勉強をする必要がありそうです。
債権は、詐害行為取消権や債務不履行、保証や債権譲渡について。
物権は、担保権や留置権、共有や物上代位について、過去に多く出題されています。
相続
スピテキでは9ページほどの小項目ですが、試験には毎年のように出題されている項目です。
特に、遺産分割における遺留分や、それに関わる遺留分侵害額請求権・遺留分特例についてしっかり抑えておく必要がありそうです。
第2章 会社法等に関する知識
一つ目の山!
スピテキの項立ては下記の通り。
- 事業の開始等に関する基礎知識
- 会社に関する基礎知識
- 株式会社
- 持分会社
- 組織再編等
- 会社法等に関するその他の知識
この章を読んでいて特に苦しかったのは、株式会社の機関・種類に関する部分です。
株式会社と言ってもその規模やスタンスによって様々な種類(ざっくり8つ)があり、それぞれで必要となる機関(取締役会、監査役会、会計監査、会計監査人、監査等委員会、他)が異なります。
この内容の複雑なこと… すでに、ほぼすべての内容を忘れてしまった自信がありますが、試験的には重要な箇所なので、頑張って覚えなければなりません。
さらに、組織再編等の項目も重要です。
事業譲渡や合併、株式交換や株式分割について学びます。この項目も15ページほどですが、試験には毎年のように出題されています。
効率よく点数に稼ぐには、絶対に抑えておきたいポイントと言えるかもしれません。
第3章 資本市場に関する知識
かなりコンパクトな章です。全体でも10ページほど。
- 株式上場(株式公開)等の知識
- 証券市場の種類
- 金融商品取引法に関する基礎知識
ニュースでよく見る株式上場の方法や意味、メリット/デメリットについて学びます。
第4章 倒産等に関する知識
こちらもコンパクトに、10ページほど。
項立ても下記のひとつのみ。
- 倒産の概要
あまり“倒産”という言葉は聞きたくないですが、中小企業にとっては常に意識せざるを得ないものかもしれません。
2020年4月現在、新型コロナウィルスが猛威をふるっています。
私が知る数少ない経営者の方々が口をそろえて、「こんなに急に、経営が不安定になる事態に陥るとは考えていなかった…」と言っています。
もはや中小企業どころか大企業の倒産も続出しそうな勢いですが、やはり外部環境として危機が訪れた際、一番最初にその影響を受けるのは中小企業や個人事業主で間違いないでしょう。
第5章 知的財産権等に関する知識
二つ目の山!
スピテキの項立ては下記の通り。
- 知的財産権
- 産業財産権
- 産業財産権の権利侵害に対する手段
- 産業財産権以外の知的財産権
- 知的財産権に関するその他の知識
企業にとって、競争優位または持続的な利益を生む(模倣困難性を生む)源泉になり得るのが、知的財産権や産業財産権です。
特許や商標、と言ったほうが分かりやすいかもしれません。
これらの権利は、自ら権利を取得して活用することも大事ですが、他人の権利を侵害しないということも同じくらい大事です。
うっかり権利侵害を犯してしまうと、事業運営上取り返しのつかない事態にもなりかねません。
特にビジネスの立ち上げ期には注意が必要ですよね。
私の日常の業務では、著作権について触れる機会が多いです。
著作財産権や二次的著作物の取り扱いについて、さらには著作隣接権についてなど、復習も兼ねてフムフムと読み進められました。
第6章 その他経営法務に関する知識
最終章。
これまでの章立てでは触れられないながらも、企業経営には欠かすことのできない法律について学びます。
- 独占禁止法
- 製造物責任法(PL法)
- 消費者保護法制
- 国際取引
ニュースで取り上げられることが多い法律や制度が並んでいます。
特に独占禁止法は、これまで「何かいけないのかな?」なんて思うこともありましたが、市場内での公正な競争や、中小企業が新規参入する場合においては、とても重要な法律であることが理解できました。
また、競争相手としての保護に加えて、下請けや孫請けとしての中小企業の保護にも関係する法律ですね。
(ほぼ)最後は、消費者保護法制。
消費者基本法や景品表示法、消費者契約法に特定商取引法についてザザッとさらいます。
景品表示法は、どんな規模の企業にも関係する法律ですので、試験勉強としてのみならず、ビジネスにおいては必修と言えそうですね。
攻めにも守りにも、法律って大事。
おしまい
最初の1周目の決め事は、とにかく無駄に立ち止まらずススーっと読み終わること。その点[経営法務]は考えたり理解したりする必要がないため、心を無にするとススーっと読み終えられます。でもそれゆえに、もしかしたら何も覚えていないのではないか…と今、極度の不安に襲われています。早めに一度、過去問に着手してみたほうがよさそうですね。
問題集はこちら。
一緒にがんばりましょう。
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