2023年10月29日(日)に中小企業診断士 二次試験を、東京エリアで受験してきました。ようやく事例㈿にたどりついた再現答案作りですが、かなり厳しい状況です。こんなに時間が足りなくなるとは、まったく想像していなかった。私が想定していた難易度の1.5倍くらいの感覚でした。CVPは15分以内でサラッと通過する予定だったのに…
記憶が生暖かいうちに、再現答案の作成と試験中に考えていたことなどをメモしておこうと思います。結果は2ヶ月後。
他の事例の再現答案はコチラから。
令和5年度【事例Ⅰ】の再現答案
令和5年度【事例Ⅱ】の再現答案
令和5年度【事例Ⅲ】の再現答案
事例Ⅳ|再現答案です
再現度は、80%程度。
というか、空欄部分が多くて再現する必要がない。またはなんか殴り書きしたけど、採点される状態の答案ではない。。。
令和5年度 中小企業診断士試験
二次試験 【事例Ⅳ】再現答案
第1問:
(設問1)
①売上高営業利益率 11.59%
②有形固定資産回転率 71.90%
③流動比率 433.64%
(設問2)
6/8売上高営業利益率が販管費高の影響で低下し、収益性が悪化している。原因は①売上減にもかかわらず雇用維持により人件費が下がらないこと②研究開発注力の一方で商品未投入の為。
第2問:
(設問1)
①63.31%
②1,141,590千円
③3,111,447千円
④14.73%
(設問2)
①販売を中止すべきで「ない」/貢献利益がプラスであり共通費回収に寄与。
②20,000万円 ※計算過程は記載内容不明
(設問3)
売上高を基準とした共通費の配賦は、各製品の利益構造が正確に反映できないため妥当ではない。貢献利益を基準とした配賦率の設定に変えるべき。
第3問:
(設問1)
①2285.49万円
②△6001.81万円
③不明
→投資価値は「ある」
(設問2)
①不明
②当該設備投資は2年度期初に実行すべき
第4問:
(設問1)
①営業コストや販促コストがかからず収益性が高まる②安定した売上が見込める為効率性が高まる。 ※逆の立場のこと書いてもうた…
(設問2)
①売上拡大により収益性が高まる②固定資産の有効活用により効率性が高まる②新製品分野売上により経営リスク低減。
※転載不可です
振り返り|タイムマネジメントなめてた
試験前にくさるほどみた、「事例Ⅳで試されているのは、学力ではなく、タイムマネジメント能力だ!」みたいな言説。言いたいことはわかるけど、普通にサクサク問題が解ければ問題ないでしょ、くらいに思ってました。なぜなら、過去問演習では、捨て問選別はしつつも、時間が足りなくなることはほぼ1度もなかったので。
甘かった。これが本試験の魔力か…
試験開始直前、なんと正誤表が配られました。
試験問題&答案用紙の配布があった後、まだなにか配る様子の試験官。白い紙ぺらだということはすぐわかったので、今日の最終事例だし、試験後のお知らせ(口述試験についてとか、来年の受験についてとか…)かなんかかと思いきや、正誤表!内容は第2問(設問2)の、設問分の修正。
「需要の異動がないとき、」きな臭い…
「試験をはじめてください」の号令とともにページをめくり、ざっくりと全体の設問テーマを確認。
第1問、経営分析。パッと見はオーソドックスな感じ。
第2問、表組に固定費/変動費とかみえるからCVP&セールスミックス?設問分長いな。
第3問、これはNPV。0.7の確率で?期待値とかもしやで(私が苦手な…)デジションツリーとか?
第4問、記述。知識系っぽい。
この時点で、第1問→第4問→第2問→第3問、と解答順序を決定。よしよし、ここまでは順調。
第1問|記述がちょっと変化球、記述対象は悪化1つのみ
いつも通り、とにかく経営指標8つ×2種を3分ほどで計算。自社の年度違いということもあり、指標選択はそれなりに注意が必要そうな差分。収益性指標がすべて悪化なので、ここの選択がポイントになりそう。
そして与件文。短いながらも情報盛りだくさん。ポイントになりそうな単語はこのあたり。多い!
- 独自開発の原料を配合
- OEM生産
- 直接製品を卸している
- 同業他社との競争激化により販売が低迷
- 輸送コスト高騰&仕入原価上昇と予想される。 ※未来!
- 人件費等の削減は行わない方針 ※社長の思い!制約条件!
- 顧客の健康志向、アンチエイジング志向が強まった
- 他のメーカーが次々に新製品を市場に投入
- 基礎研究を進めてきた ※お金かかる!
- 中期的には市場の拡大が見込まれている
選ぶべきは、悪化指標2つ(うち1つは悪化原因を80字で説明)と、改善指標1つ。
計算した財務指標は下記8つ
<収益性指標>
・流動比率
・当座比率
・自己資本比率
<収益性指標>
・売上高総資本比率
・売上高営業利益率
・売上高経常利益率
<効率性指標>
・棚卸資産回転率
・有形固定資産回転率
まず改善指標は、流動比率で決定。
安全性3指標はどれも改善しているので、この中から選ぶ。過去問の経験から、改善している状況で自己資本比率(資本バランス)を選択するケースはほぼなかった。流動比率と当座比率の選択は少々悩んだけど、与件文との関連でいうとあえて当座比率を選ぶ根拠も見当たらなかったので、シンプルに流動比率をチョイス。
そして悪化指標は、収益性指標から1つ、効率性指標から1つを選びます。
1つ目は売上高営業利益率に決定。「輸送コストが高騰し、原材料等の仕入原価が上昇すると予想される。」を引っ掛けとみなし、「人件費等の削減は行わない方針」や「基礎研究を進めてきた」の費用負担が原因と推定。この観点は書きやすかったので、そのまま(設問2)を処理。
2つ目は有形固定資産回転率に決定。棚卸資産回転率は改善していたため、自動的に。ひとつ気になるのは、B/Sに「有形固定資産」という記載がなかったこと。「建物・工具類」が明らかに有形固定資産ではあるものの、気になる。。。 生産性指標を明示的に問われた昨年のケースが脳裏に浮かんだけれど、とにかくシンプルに安全性・収益性・効率性の3カテゴリをベースに回答することが大外しをしないコツだと過去問演習を通じてわかっていたので、邪念(?)を振り切る。
そもそもこの問題にあまり時間を割いてはいられないのだ。
第4問|OEM生産の財務的利点と、新製品分野製品開拓&販売の財務的利点
パラパラっとページをめくって、第4問にワープ。
まず(設問1)は、OEM生産の財務的利点を50字で。はいはいOEMね、知識問題ね、とパパっと解答。これで10点いただきました。
と思っていたが、この時大きな落とし穴にはまっていたことに気づくのは試験後。D社、OEMの発注側でした… 過去問だと圧倒的にOEM受注側(そしてそこからの脱却模索という方向性)が多かったことによる、スーパーケアレスミス。やはり本試験で通常のメンタルでなかったようだし、このあとのCVP沼の余波で見直し時間もゼロなり、ジ・エンド。
そして(設問2)は、新製品分野の製品開発と販売による財務的な利点を50字で。これちょっと難しい。
基本的には第1問で指摘した悪化指標が、この施策によって改善に向かうという方向性と推定。収益性(売上高営業利益率)を上げるドライバーは販管費減だけど、販管費は減らない。むしろ増えそう。一方新製品販売で売り上げは増える。だとしたらそもそも第1問で指摘すべきは売上高総利益率だったのか? などと逡巡しつつ、問題間の整合性には少し目をつむって、「売上拡大により収益性が高まる」ことを記載。ちょっと気持ち悪い…
もうひとつは有形資産回転率の改善なので、シンプルに「固定資産の有効活用により効率性が高まる」と記載。少しアホっぽい…
少し文字数が余ったので、最後に「経営リスク低減」も指摘。でもこれって“財務的”利点? 違うか。
満点じゃないけど大外しはしていない、よね?
第2問|CVP
さて本丸のCVP。この2か月の準備期間で、一番“やった感”があったのがCVP学習。
だからこそ、沼った。
原価予測は営業利益段階まで、2期間の変動比率は一定として、固定費と損益分岐点売上高を計算せよ。すぐに連立方程式が脳裏に浮かび、計算。ここまでは順調だった…
X=変動比率、Y=固定費として、連立方程式①②を解く
①5796105 – 5796105X – Y = 985027
②4547908 – 4547908X – Y = 527037
第一の罠は、扱う数値の桁数の多さ。(単位:千円)なので、売上高が7桁。電卓扱いがまだまだ未熟な私にとって、端的に言って地獄。
第二の罠は、小数点第3位の四捨五入。スパッときれいな数値が解となる過去問あったよね?桁数地獄なら解答くらいシンプルスタイルでお願いしたい。
第三の罠は、連立方程式。連立方程式を使って答えを導き出したら、当然検算は解答導出に活用しなかった側の方程式をつかってやりますよ。これが罠。まったく答えが合わない。
この罠にずっぷりはまり、最終的には第2問で30分以上を浪費してしまった私。時間を使えば使うほど、逆説的に「これだけ時間かけた問題が×だと、それこそ試験が終わる。」と考えてしまい検算に執着する悪循環。最終的には令和4年度側の方程式で計算した数値を解とみなして(設問1)を離脱しました。
(設問2)はセールスミックス。単体では営業利益が△になっているX製品の販売継続可否について。正誤表でわざわざ「需要の予測がないとき、」と念押ししてくれてることを重く見て、①はシンプルに貢献利益を算出して解答。文字数が20字と少なすぎて、通常なら書きたい貢献利益金額や営業利益増減額は未記載。結論は有ってるはずだけど、この点ちょっと不安。そして②。これまでで初めてのタイプの問題だったけど、国語的な設問解釈と方程式でなんとかクリア。
6000 + (△100000+△3000)+(10000+X)– (10000+X)×6000/10000 – 2500>2500
(設問3)は製品別の共通費配賦基準(売上高)の妥当性判断。「活動原価基準」みたいな単語が頭をよぎるも、正確な知識を脳みそから引っ張り出すのに時間がかりそうだったので、「妥当ではない」とういおそらく合っている結論などなどを駆け足で記載してよしとした。
なぜなら、この時点で残り時間が20分を切ってたもので…
第3問|NPV
さて第3問。試験前2週間で一番時間を割いたのがNPV。だからこそ諦めきれなかったのだが、ここで撤退して第1・2・4問の見直しに時間を割くという選択肢もあった。少なくともOEMの記述ミスは防げた(+8〜10点)し、第3問の自己採点はたった6点である。結果論だからしょうがない。
取組初めてから5分ほどたつと、条件設定の複雑さがわかってきた。少し後悔したけどもう遅い、私は走り出してしまっていた。
複雑のもと1は、販売予測数が2パターン。これだけでNPV計算(表作成)の数を倍になる。期待値計算もあるし。
複雑のもと2は、運転資本の増減を加味。いつもは「運転資本の増減は加味しない」って言ってくれてるじゃないか…
複雑のもと3は、計算過程記入欄が極小。計算過程の記入方(なにを端折れるか)に頭が持っていかれ、問題自体に集中できず。
こんな状況で、第3問に使える時間は約15分。少々パニック状態になってしまったけど、一応(設問1)の①②③は答えを記載。全×見込。(設問2)は残り3分の時点でチラ見し①は捨て。②は記述で選択肢が与えられていたため、勘で「2年度機首に実行すべき」と記載。字数は20字ほどと全く足りず。結論があってたら1〜2点いただけるかな。
ここでタイムアップ。
放心…
総括
全体的な印象は、「できなかった」です。予想得点は(甘めに見積もって)50点。
時間が足りなかった。正直時間が1.5倍あれば、NPVもかなり点数を積み増せたはずだし、第4問ののケアレスミス(OEMの受発注間違い…)も正せたはず。やはり見直し時間を絶対的に考慮にいれたタイムマネジメントを徹底するべきだったのか。でもこれで50点オーバー(調整含め)してたら「問題はなかった」と言えるのか。
とはいえ、これはX(Twitter)界隈で言うところの素点。過去を振り返ると、相対試験である中小企業診断士二次試験において、調整がおおむね加点方向でなされていたことは帰納的事実。とすると、素点が50弱あるとするとまだ絶望する必要なないのかも…
すべては結果次第。ここ2か月の学習の成果は、最低限出たような気がします。そもそも直前詰込みの一発勝負なので、あとは2か月お祈り申し上げて待つのみです。
万が一、来年また受験することになったら、NPVの理解と解答スピードアップが注力ポイント。でももう試験勉強やりたくない….
合格発表、さらには得点開示まで、みなさん一緒にがんばりましょう。
(なにを?)
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